徳島赤十字病院について

事業計画

I 運営方針

 人口の減少と高齢化に伴う急速な社会構造の変化、地域における医師不足など様々な課題を背景に、国においては切れ目のない効率的かつ効果的な医療・介護サービスの提供体制の構築を目指し、持続可能な社会保障制度の確立に取り組んでいる。平成27年度からは、各都道府県に「地域医療構想調整会議」を設置し、医療需要の将来推計や「病床機能報告制度」により各医療機関から提出された情報等をもとに地域医療構想(ビジョン)の策定に着手し、それぞれの地域にふさわしい「地域完結型医療」への転換を推進している。更に、平成30年度には、先に施行された「医療介護総合確保推進法」を核として、地域医療構想(ビジョン)が盛り込まれた第7次医療計画、及び第7期介護保険事業計画、並びに診療報酬と介護報酬の改定が同時に始動することから、今後、医療機能の分化と連携に向けた流れは大きなうねりとなって加速していくことが予想される。また、先般、平成26年度に実施された「病床機能報告制度」に関する全国の医療圏ごとの報告結果が公開されたが、国が示す「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つの医療機能ごとの必要病床数とは大きな乖離があり、大幅な病床増減を伴う病床機能の調整まで必須であることが明らかになった。

 こうした中、当院は、引き続き高度急性期医療を担うために地域医療支援病院、高度救命救急センター等の各基幹機能の充実を図り、より一層の医療機能分化と連携の強化に努め、病院理念である「断らない医療」を実践し、地域住民が安心・満足できる医療の提供に努めたい。

 また、南海トラフ地震など近年その発生が危惧されている大規模災害に備え、地域における災害医療の拠点としての機能整備を進めたい。

1. 品質方針

病院理念

私たちは断らない医療を実践し、みなさまの健康と尊厳をお守りします。

病院原則

1.自由
2.地域と先進高度医療
3.世界性
4.教育
5.情報と文化の創造

基本方針

一、最高の医療を追求するため全ての企業を競争相手とします。
一、患者様の要望に全て応えて、細部の細部にこだわるために、品質マネジメントシステムの有効性について継続的に改善していきます。
一、患者様に安心して治療していただくため、全ての職員が支援します。
一、施設、設備は、全て患者様のものでありアメニティ向上のため改善に努めます。
一、職員全ての耳をアンテナに、常に患者様の声を聞きます。
一、認め、讃え、報いる。正しい仕事に対するフィードバックを行います。
一、患者様一人ひとり、職員一人ひとりがキーパースンです。

II 重点事項

地域の基幹病院としての特色発揮と機能強化
  1. 地域医療支援病院として、病診(病)連携の強化を図り、紹介患者と救命救急を中心とした急性期医療に特化する。
  2. 高度救命救急センターとして、高度で専門的な医療を提供するとともに、「断らない医療」を実践して100%救急医療対応を目指す。更に、地域の救命率向上に貢献すべく、救急現場や患者搬送中の救急車に一刻も早く救急処置薬剤や蘇生用具を携行した医師や看護師を派遣する「病院前救急診療」の機能拡充を図るため、機動力の高いラピッドレスポンスカー(医師派遣用自動車)を新たに追加整備することで、積極的な救急医療を展開する。
  3. 小児救急医療拠点病院として、小児科医の2交代制勤務による小児救急患者の24時間365日の受け入れ態勢を継続する。
  4. 地域周産期母子医療センターとして、産科救急等の受け入れを強化するとともに、県内の周産期医療関連施設等との連携をより一層密にし、周産期医療体制の強化拡充を図る。
  5. 地域がん診療連携拠点病院として、診療機能や診療連携体制を強化するとともに、相談支援及び情報の収集・提供体制を拡充する。
  6. へき地医療拠点病院として、無医地区への医師派遣によりプライマリを支援するとともに、3次救急施設として救急車やドクターヘリの受入れ、ドクターカーの運行等を通じて地域医療に寄与する。
  7. 5大疾病対応として、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病への対応力強化を継続し、精神疾患へはリエゾン精神医療実施体制を整備し、高度急性期病院として政策医療に積極的に取り組む。
  8. 医療機能の分化・連携の推進として、従来入院にて実施していた短期入院症例の外来化を促進し、DPC制度下においての医療の標準化と後方支援病院との連携により平均在院日数の短縮に努め、高度で高密度な医療提供体制を構築する。
  9. 最先端の医療技術の提供として、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)などの血管内治療、腹腔鏡手術システムを用いた手術を積極的に推進することで、患者様の負担軽減と早期回復に努めるとともに、医療の質の向上に寄与する。
安全・安心の医療提供体制の構築
  1. 医療安全推進室と各部署とが連携し、医療安全管理体制及び院内感染防止体制の充実・強化を図り、医療事故や院内感染の防止に努め、安全・安心で良質な医療を提供する
  2. 「顧客満足」 の視点を常に念頭におき、患者様との充分な対話や円滑な意思疎通により「安心と満足」が得られる医療を提供する。
  3. 近年、急増するサイバー攻撃や不正アクセスに対する万全なセキュリティ対策を講じるとともに、情報セキュリティについて全職員のコンプライアンス意識の徹底に努める。
赤十字医療施設としての特色発揮と機能強化
  1. 医療救護活動は赤十字事業として重要であることから、日本赤十字社徳島県支部防災業務計画及び国民保護救護計画の遂行とともに、院内災害医療訓練などを通じて災害時の行動への習熟を図り、地域の災害拠点病院(地域災害医療センター)として機能を発揮できるよう体制を強化する。
  2. 継続的に養成している赤十字救護班や災害医療支援チーム(徳島日赤DMAT)を中心として、各医療機関のDMATや医師会、消防等関係機関と訓練を実施することにより大規模・広域災害に備える。
  3. 国際救援・開発協力要員の派遺及び育成を継続的に実施するとともに、平成27年4月に大地震に見舞われたネパールにおける復興支援事業など、これまで携わった国際救援・災害救護活動について効果的な広報活動を展開することで赤十字事業の普及を図る。
効率的な運営体制の構築

 本社においては赤十字病院グループとしての総合力を最大限発揮すべく、今年度から新たに医療事業推進本部を設置し、「人材、モノ、資金、医事・会計・財務・購買等の情報」の集約化を図り、医療の質向上、財務・経営対策、人材育成推進等に積極的に取り組むとともに、引き続き支部との密接な連携・協力により地域に密着した病院運営を進めることが明示されている。

 当院においても更なる経営基盤の強化を図るため、赤十字病院グループ共有の情報データベースを有効活用することにより、組織運営の効率化と充実に努める。更に、全職員には、高いコスト意識と経営感覚の浸透を図り、柔軟で創造的な病院経営戦略の策定・実行を推進する。

質の高い医師の育成と確保

 安全で良質な医療を提供できる診療能力を備え、国内外の救護活動に貢献できる赤十字臨床医としての誇りを持った医師を育成・確保する。

  1. 初期臨床研修制度(臨床研修医・2年間)
    臨床研修病院として研修医が医師として必要な知識・技能・態度を身に付けられるよう研修体制の充実を図る。
    〔平成28年度 1年次12名、2年次12名、合計24名予定〕
  2. 後期臨床研修制度(レジテント医 3年・4年制)
    初期臨床研修を終えた医師に対し、専門的な診療能力を備えた臨床医を育成するとともに、専門医取得を支援する。
    また、平成29年度から開始する新専門医制度等の動向を注視し、新しい制度に対応したプログラムの構築等について検討を行う。
  3. フェロー医(研究医)制度(4年間)
    専門医取得等を支援するとともに、指導医師として必要な能力を身に付ける。
  4. 後期臨床研修医とフェロー医は、専攻・専門診療と救急部門の研修を必須とし、救命救急医療の分野でもいかなる二次救急の疾患にも対処できるジェネラルな医師を育成する。
  5. 厚生労働省が認めた臨床研修指導医養成講習会受講を促進する。
    (昨年度までに62名修了)
  6. 国内・外での研修・技術取得を支援する。
  7. 先進医療等への取り組みを積極的に支援する。
  8. 治験への参加や実施を積極的に支援し、最新のエビデンス取得に注力する。
質の高い職員の育成と確保
  1. 臨床研修看護師(助産師)の育成
    基本的な臨床実践能力を修得し、臨床において確実な看護ケアが提供できる赤十字の新人看護職員を養成する。
    〔平成28年度 34名予定〕
  2. 専門看護師、認定看護師の養成
    特定の看護専門分野について高度な知識・技術を有する看護師を育成するため、費用の援助及び学習環境への配慮等を行い、資格取得を推進する。
      専門看護師 認定看護師
    取得者数 3名 16名
    養成中 1名 2名
  3. 臨床研修薬剤師の育成
    基本的な薬剤師としての技術を修得し、調剤業務や服薬指導他、適切な薬事衛生を実践できる薬剤師を養成する。
  4. 病院各部門の専門資格取得の推進
    細分化する専門資格の取得に要する費用の助成など、積極的に支援する。
  5. 修得した技術や技能を効果的に発揮できる組織運営を行うことで、一人ひとりが「誇り」と「やりがい」を持って働ける環境を醸成する。
保健事業

 国の医療政策により義務付けられた特定健診、特定保健指導を実施し、健康増進に寄与することはもとより、急性期病院としての特性を活かした保健事業を展開する。

  1. 専門医による動脈硬化に特化した踊る血管阿波踊り健診やお遍路健診、女性スタッフのみによる乳がん健診、脳卒中の予防・早期発見・早期治療のための脳ドックなど特色と魅力ある健診を推進し、地域の方々の健康増進と疾病予防に寄与する。
  2. 健康の増進に関する正しい知識を普及するとともに、当院の機能を広く広報するため、定期的に市民公開講座を開講する。
施設整備事業(増築・改修工事)

 平成18年5月に現在地に全面移転し、高度急性期医療分野の基幹病院として地域医療の確保に努めてきたが、病院機能の大きな発展により現有施設では機能面でも、スペース面でも不足をきたす状況に至ったため、次のとおり施設整備事業(増築・改修工事)を推進することで更なる病院の発展に努めたい。

  1. 日帰り手術部門の新設
    入院部門の更なる高度急性期医療への特化と入院から外来へのシフトを促進することで空床を確保し、紹介患者と救急患者の受入機能の拡充を図る。
  2. 病棟の新設
    個室化を推進するため、既存病棟の2床室(42室)を個室に転用し、減少した42床分をもって増築棟に1病棟を新設する。(増床はせず、引き続き405床にて運用)
  3. 中央診療部門の拡充
    PETの新設とアンギオ、CT等の増設。
    内視鏡部門、臨床検査部門、リハビリ部門、外来化学療法室等の拡充。
  4. 救急外来部門(ER)の拡充
    トリアージスペースの拡充や処置・観察ベッドの増設等。
  5. その他
    教育研修、福利厚生部門の拡充。
    備蓄倉庫の拡充、大地震発生時の地域住民の一時避難スペースの整備等。

 昨年度末には、一般競争入札により施工業者を選定し、平成29年秋の新棟竣工を目指して増築工事の前段となる盛替工事、及び仮設・解体工事に着手したところである。今年度は、山留・杭工事、基礎工事、躯体工事など本格的な増築工事を実施することにより、年度末には約1万3千m2(延床面積)、鉄骨造、地上5階(耐震構造)の規模を有する新棟の躯体部分が全て完成する予定である。

III 事業実績数値

  項目 平成28年度目標
入院 在院患者数(1日平均) 357.0人
新入院患者数(1日平均) 41.0人
退院患者数(1日平均) 41.0人
入院患者延数(1日平均) 398.0人
平均在院日数 8.7日
病床利用率(405床) 98.3%
外来 新患者数(1日平均) 145.0人
紹介率(地域医療支援病院) 82.0%