徳島赤十字病院について

事業計画

I 運営方針

 少子高齢化が急速に進み社会保障制度自体の存続が問われる状況下で、国においては医療や介護の需要が大幅に増加すると見込まれる平成37年(2025年)を見据え、切れ目のない効率的かつ効果的な医療・介護サービスの提供体制の構築に取り組んでいる。

 一方、徳島県においても、「病院完結型」から「地域完結型」医療への転換を推進すべく、平成28年10月に「地域医療構想」を策定し、これまで不明確であった「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つの医療機能ごとの必要病床数を明示するなど、それぞれの地域にふさわしいバランスのとれた医療提供体制の構築を目指している。このように、第7次医療計画、及び第7期介護保険事業計画、診療報酬と介護報酬の改定が同時に始動する平成30年度を目前に控え、医療を取り巻く環境はこれまでにない目まぐるしい速さで変遷している。加えて、国民の医療安全や医療の質に関する意識の高揚により、我々は従来に増して専門性の高い病院運営が求められている。

 こうした中、当院は引き続き高度急性期医療を担うために地域医療支援病院、高度救命救急センター等の各基幹機能の充実を図り、より一層の医療機能分化と連携の強化に努め、病院理念である「断らない医療」を実践していく。

 また、今秋の新棟竣工を契機として診断・治療機能の拡充により、良質で安全な高度医療への特化に取り組むとともに、南海トラフ地震など近年その発生が危惧されている大規模災害に備え、地域における災害医療拠点病院としての使命を果たすべく災害医療機能の増強を図る。

 こうした取り組みにより、地域における当院の存在意義を高め、全ての分野において医療業界を牽引する「リーディングホスピタル」としての地位の確立を目指す。

1. 品質方針

病院理念

私たちは断らない医療を実践し、みなさまの健康と尊厳をお守りします。

病院原則

1.自由
2.地域と高度先進医療
3.世界性
4.教育
5.情報と文化の創造

基本方針

一、最高の医療を追求するため全ての企業を競争相手とします。
一、患者様の要望に全て応えて、細部の細部にこだわるために、品質マネジメントシステムの有効性について継続的に改善していきます。
一、患者様に安心して治療していただくため、全ての職員が支援します。
一、施設、設備は、全て患者様のものでありアメニティ向上のため改善に努めます。
一、職員全ての耳をアンテナに、常に患者様の声を聞きます。
一、認め、讃え、報いる。正しい仕事に対するフィードバックを行います。
一、患者様一人ひとり、職員一人ひとりがキーパースンです。

II 重点事項

地域の基幹病院としての特色発揮と機能強化
  1. 地域医療支援病院として、病診(病)連携の強化を図り、紹介患者と救命救急を中心とした高度急性期医療に特化する。
  2. 高度救命救急センターとして、高度で専門的な医療を提供するとともに、「断らない医療」を実践して100%救急医療対応を目指す。更に、ラピッドレスポンスカー(医師派遣用自動車)により、救急現場や患者搬送中の救急車に一刻も早く救急処置薬剤・蘇生用具を携行した医師や看護師を派遣する積極的な「病院前救急診療」を展開することで、地域の救命率向上に貢献する。
  3. 小児救急医療拠点病院として、小児科医の2交代制勤務による小児救急患者の24時間365日の受け入れ態勢を継続する。
  4. 地域周産期母子医療センターとして、産科救急等の受け入れを強化するとともに、県内の周産期医療関連施設等との連携をより一層密にし、周産期医療体制の強化拡充を図る。
  5. 地域がん診療連携拠点病院として、診療連携体制を強化するとともに、相談支援及び情報の収集・提供体制を拡充する。更に、PET-CTの新設やリニアック装置の更新、内視鏡室の拡充を契機に、がんの診断・治療機能を強化し、地域におけるがん医療の充実に努める。
  6. へき地医療拠点病院として、無医地区への医師派遣によりプライマリを支援するとともに、3次救急施設として救急車やドクターヘリの受け入れ、ドクターカーの運行等を通じて地域医療を支援する。
  7. 5大疾病対応として、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病への対応力強化を継続し、精神疾患へはリエゾン精神医療実施体制を整備し、高度急性期病院として政策医療に積極的に取り組む。
  8. 医療機能の分化・連携の推進として、DPC制度下においての医療の標準化と後方支援病院との連携により平均在院日数の短縮に努め、高度で高密度な医療提供体制を構築する。また、日帰り手術センターを新設することにより、心臓カテーテル検査など、これまで短期間の入院を要した手術・検査を速やかに外来にシフトすることで新たな空床を確保し、入院患者の収容能力を高める。また、入院部門については更なる高度急性期医療への特化を加速させ、救急患者や紹介患者の100%対応を目指す真の「断らない医療」を実践する。
  9. 最先端の医療技術の提供として、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)などの血管内治療や腹腔鏡手術システムを用いた手術を積極的に推進する。また、高額医療機器の新設・更新により診断・治療領域の拡充を図ることで、患者様の負担軽減と早期回復に努め、「医療の質」の向上に寄与する。
安全・安心の医療提供体制の構築
  1. 高度化・複雑化する医療環境の中で、安全で良質な医療を提供し続けるには、職員一人ひとりの心構えと医療安全や感染管理に関する知識の向上が不可欠である。医療安全推進室と感染管理室が核となり、病院の安全文化の醸成を図るとともに、職種や年代の垣根を越えた横断的なチーム医療を推進することで、患者様の安全を最優先とする組織体制の充実と強化に努める。
  2. 患者様・ご家族が病院や職員に求めるニーズは年々多様化しており、これらに対しても誠実に対応しなければならない。患者様の視点を念頭においた接遇を心がけることで顧客満足度の向上に繋げるとともに、患者様との充分な対話や円滑な意思疎通により「安心と満足」が得られる医療を提供する。
  3. 近年、急増するサイバー攻撃や不正アクセスに対する万全なセキュリティ対策を講じるとともに、情報セキュリティについて全職員のコンプライアンス意識の徹底に努める。
赤十字医療施設としての特色発揮と機能強化
  1. 医療救護活動は赤十字事業として重要であることから、今後、高い確率で発生が危惧されている大規模災害に備え、赤十字救護班や災害医療支援チーム(徳島日赤DMAT)を継続的に養成する。更に、赤十字のグループ力の発揮や防災関係機関とのネットワークの活用等により、災害マネジメントサイクル全体への関与を確立し、より一層の災害対応能力の強化に取り組む。
  2. 新棟竣工に伴い大幅な床面積の増加、及び各部門配置の変更、地域住民の一時避難スペースの新設、備蓄倉庫の拡充が実現することから、災害対策マニュアルを改訂する。また、発災直後から復興期に至るまで切れ目の無い医療活動が展開できるよう、院内災害医療訓練や関係団体との共同訓練等を通じて災害時の行動習熟を図り、災害拠点病院としての機能強化に努める。
  3. 日本赤十字社徳島県支部との連携・協力関係をより密接なものとし、救急法等の各種講習会への講師派遣や国際救援・開発協力要員の育成、及び派遣を継続的に行い、赤十字医療施設としての特色を発揮する。更に、これらの活動について効果的な広報活動を展開することで、赤十字思想の着実な普及に努める。
効率的な運営体制の構築

 病院運営は、医療そのものの質の高さを確保することは勿論であるが、これと同時に安定した経営基盤の確立、即ち「経営の質」の強化が重要である。新入院患者数の増加や適切な施設基準の取得、DPC医療機関別係数のアップなどで収入の確保に取り組むとともに、様々な情報データベースを活用することで、「人・物・金・情報・時間」を客観的・多角的視点で病院運営を検証し、柔軟かつ創造的な病院経営戦略の策定・実行を推進する。更に、全職員には、高いコスト意識と経営感覚の浸透を図ることで、病院運営を担っているという責任感や使命感の向上に繋げ、積極的に経営参画ができる組織文化の醸成に努める。

人材育成と確保

 患者様に良質な高度急性期医療を提供するためには、多数の専門知識を持った人材を確保することが重要である。組織にとって、人材は「人財」であるとの認識のもと、これからの病院を担う人材を育成するため、専門知識や技術の修得を積極的に支援する。更に、修得した技術や技能を効果的に発揮できる組織運営を行い、職員一人ひとりが「誇り」と「やりがい」を持って働ける環境を醸成し、心身ともに健康的に勤務できる職場づくりを目指す。

質の高い医師の確保と育成

 社会問題となっている医師不足や偏在化に対し、初期臨床研修制度と新専門医制度を中心とした各種教育プログラムの充実を図り、医師の確保に最大限努める。

  1. 初期臨床研修制度(臨床研修医・2年間)
    研修医が医師として必要な知識・技能・態度を身に付けられるよう臨床研修病院として研修体制の充実を図る。
    〔平成29年度 1年次12名、2年次12名、合計24名予定〕
  2. 後期臨床研修制度(レジデント医 3年・4年制)
    初期臨床研修を終えた医師の専門医取得を支援し、専門的な診療能力を備えた臨床医を育成する。
    また、平成30年度から開始する新専門医制度についても動向を注視し、「内科専門医」「救急科専門医」の二つのプログラムを各学会に申請し、専攻医を募集する。
  3. フェロー医(研究医)制度(4年間)
    専門医取得等を支援するとともに、指導医師として必要な能力を身に付ける。
  4. 後期臨床研修医とフェロー医は、専門診療と救急部門の研修を必須とし、二次救急のいかなる疾患にも対処できるジェネラルな医師を育成する。
  5. 厚生労働省が認めた臨床研修指導医養成講習会受講を促進する。
    (昨年度までに64名修了)
  6. 国内外の救護活動に貢献できる赤十字臨床医としての誇りを持った医師を育成し確保する。
質の高い職員の確保と育成

 安全・安心な医療の提供にはチーム医療の推進が重要であり、医療従事者に期待される役割は日々拡大している。細分化する専門資格の取得に要する費用の援助、及び学習環境づくりを推進することで、資格取得を積極的に支援する。

  1. 臨床研修看護師(助産師)の育成
    基本的な臨床実践能力を修得し、臨床において確実な看護ケアが提供できる赤十字の新人看護職員を養成する。
    〔平成29年度 36名予定〕
  2. 専門看護師、認定看護師の養成
    特定の看護専門分野について高度な知識・技術を有する看護師を育成するため、費用の援助と学習環境への配慮等を行い、資格取得を推進する。
    なお、今年度については、専門看護師「がん看護」1名、認定看護師「がん化学療法看護」「手術看護」各1名の合計3名を養成する。
      専門看護師 認定看護師
    取得者数 3名 18名
    養成中 1名 2名
  3. 臨床研修薬剤師の育成
    基本的な薬剤師としての技術を修得し、調剤業務や服薬指導他、適切な薬事衛生を実践できる薬剤師を養成する。
    〔平成29年度 2名予定〕
地域における医療水準の向上

 新設・拡充するスキルスラボ(臨床技能学習室)、研修室、講義室を活用し、職員のみならず医学生をはじめとした医療を志す学生、周辺の医師や看護師等の医療関係者を対象とした研修会などを積極的に開催し、地域における医療水準の向上に寄与する。

保健事業

 国の医療政策により義務付けられた特定健診、特定保健指導のみならず、踊る血管阿波踊り健診やお遍路健診、女性スタッフだけの乳がん健診といった特色と魅力あふれる健診事業を推進するとともに、新設するPET-CT等を活用した新たな健診を展開することで、がんの早期発見に取り組む。
 また、好評を得ている市民公開講座の開催などを通じて、高度急性期病院としての特性を活かした保健事業を展開し、地域の方々の健康増進と疾病予防に寄与する。

施設整備事業(増築・改修工事)

 平成18年5月に現在地に全面移転し、高度急性期医療分野の基幹病院として地域医療の確保に努めてきたが、病院機能の発展により現有施設では機能面でも、スペース面でも不足をきたす状況に至ったため、施設整備事業(増築・改修工事)を推進することにより日帰り手術部門や病棟の新設、中央診療部門や救急外来部門、教育研修部門の拡充を図る。

 今年度は、昇降機設備工事、内装工事、外構工事を段階的に施工することで9月末日の新棟竣工を目指す。その後、約1ヵ月間で医療機器・備品の搬入、引越等を実施し、11月から新棟の供用を開始する。更に、平成30年6月のグランドオープンを見据え、既存の病院棟と外来棟の改修工事に着手する。

III 事業実績数値

  項目 平成29年度目標
入院 在院患者数(1日平均) 357.0人
新入院患者数(1日平均) 40.5人
退院患者数(1日平均) 40.5人
入院患者延数(1日平均) 397.5人
平均在院日数 8.8日
病床利用率(405床) 98.1%
外来 外来患者数(1日平均) 720.0人
新患者数(1日平均) 145.0人
紹介率(地域医療支援病院) 82.0%