心臓血管外科

手術

予定手術日は月曜日から金曜日までの週5日ですが、緊急手術には麻酔科医・ICUおよび手術室看護師などの協力を得て、24時間365日対応できる体制を用意しています。2017年の心臓大血管手術は405例で、虚血性心疾患関連が36例、弁膜疾患209例、大血管症例149例(ステントグラフト15例)、先天性心疾患3例、その他8例という内訳です。

心臓大血管手術数

心臓大血管手術数の推移

虚血性心疾患

虚血性心疾患に対する治療としてPTCAやステント留置などのCatheter Interventionが盛んとなったため、冠状動脈バイパス手術(CABG)の適応は、左主幹部病変や重症3枝病変、PTCA後の再狭窄等に限られていました。しかし近年、人工心肺装置を使用しない心拍動下手術(OPCAB)が手技や周辺器機の進歩と共に安全に行えるようになり,手術適応は拡大しつつあります。例えば、85歳をこえる超高齢者・胆癌患者・高度脳血管障害合併例・早期に二期的手術の必要な症例などで、現在でほとんどの手術がOPCABで施行されており、脳合併症の予防、輸血量の減少、ひいては早期の退院に寄与しています。

冠動脈バイパス手術件数

心臓大血管手術数の推移

弁膜疾患

10-15年程前までは、弁膜症と言えばリウマチ性のものがほとんどであり、若年に多い疾患でした。しかし今や、リウマチ性のものは激減し、大動脈弁では高齢者の動脈硬化性の大動脈弁狭窄症が、僧帽弁であれば弁の退行性変化による僧帽弁閉鎖不全症が増加しその多くを占めるようになっています。年齢的には80才をこえる患者様も決して珍しくなく、若年者同様安全に手術が行えるようになっています。当科では、65才をこえる高齢者には原則として、生体弁を使用しています。また、生体弁を希望される患者様には65才以下であっても術後遠隔期のQOLの高さから積極的に使用しています。最近では生体弁と機械弁の使用比率は、ほぼ4:1となっています。また、僧帽弁閉鎖不全症には、積極的に人工弁を使用しない形成術を施行しており、従来なら人工弁を使用せざるを得なかった場合にも形成術が施行しうる様になりました。

h4>弁膜症手術件数

弁膜症手術件数

大動脈瘤

大動脈瘤はわれわれの分野の中でも、増加の一途をたどっている疾患であり、今後もその傾向は続くと考えられます。今や非常にありふれた疾患になりましたが、破裂するまで症状が出ないという疾患の性質上、破裂を未然に防ぐ段階で発見される必要があります。最も症例数の多い腹部大動脈瘤でその発見される動機を調べてみますと、

  1. 他疾患の検査で偶然に発見される
  2. 自分で気づく
  3. 破裂して発見される
  4. 医師が触診で発見する、

とういう順番でした。触診やエコー、レントゲン写真で疑わしければ、迷わずCTを撮影して頂くのが最も確実な確定診断の方法です。手術適応すなわち破裂する危険性のある動脈瘤は、胸部で6cm、腹部で5cmと考えて頂いて結構です。平均年5mmのスピードで拡大すると言われていますが、高血圧のコントロールが不良、喫煙、紡錘状よりも嚢状のものが拡大しやすくすなわち破裂しやすい動脈瘤です。大きさが手術適応でなくても、半年から1年毎にCTで経過観察する必要がありますが、血圧の厳重な管理や禁煙も非常に重要な事と言えます。

腹部大動脈瘤手術症例数

腹部大動脈瘤手術症例数

胸部大動脈瘤手術症例数

胸部大動脈瘤手術症例数

急性大動脈解離

急性大動脈解離は、スタンフォード分類A型・B型を問わず毎年増加傾向にあります。この理由は、疾患自身の増加以上に、疾患の存在の浸透、CTの普及によることが大きいと思われます。A型は基本的に緊急手術を救命の為に要し、B型は降圧安静療法が選択されます。A型は、破裂による心タンポナーデや主要臓器虚血等の為、一刻も早い手術を要する事が少なくありません。A型の手術は過去には非常に手術死亡率の高いものでしたが、いまや救命する事はもちろん、いかに解離を残さない手術を行うかという慢性期のQOLを高める手術を施行する時代になっています。

術後管理

術後管理も最近は簡素化され、関心術後でも第一病日にはICUを退出します。通常は術後第二週から第三週の間に退院されています。

先生方とのコミュニケーション

ご紹介いただいた患者様の手術報告および退院報告を行っております。ご紹介いただいた先生方にできるだけ、手術関連の詳しい情報をお知らせし、術後の経過観察に役立てていただこうと考え、術中の写真などを同封して工夫を凝らしているつもりです。手術に関してこんなことを知りたいとかもっとこういう情報はないか等、ご要望がありましたらいつでもご連絡下さい。

日常の外来は、火曜日が大谷医師、木曜日が来島医師、金曜日が福村で行っています。外科的な紹介がありましたら、その曜日に紹介していただければ幸いです。また、大動脈瘤破裂や急性大動脈解離などの場合、先生方からの電話による一報で手術室が動き出す事も稀ではありません。われわれも患者の状態や血液型などを、患者到着以前に知り備えたいと考えています。われわれ外科医に直接電話していただけると二度手間が省けます。遠慮なさらずにお願いできればと思います。

当科開設以来「徳島の人々にも循環器疾患治療で世界一流レベルのものを…」を合い言葉に外科的治療に励んできました。今後ともかわらぬご支援をお寄せ下さい。

(文責:福村 好晃)

手術成績

2017年手術成績(PDF)