耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科

 外来一般診療は、月~金曜の午前に、二診(水と金のみ一診)で行っています。基本的には予約制であり、予約患者様・紹介患者様を優先して診察しています。
 2012年度の紹介患者数は1091人で、紹介率は85.4%でした。

外来診療

受診当日に行う検査

  • 各種単純レ線
  • (純音、語音)聴力検査
  • ティンパノメトリー
  • あぶみ骨筋反射
  • OAE
  • 一次平衡機能検査
  • 静脈性嗅覚検査
  • 耳下腺造影
  • 緊急で検査する必要がある時には、頭部や副鼻腔のCT検査を当日に行ないます。

適宜予約する検査

  • 中耳や副鼻腔、頸部のCT
  • 中耳・内耳の3DCT(三次元構築)
  • 頭頸部MRI
  • 顔面筋電図
  • 終夜睡眠ポリグラフィー(1泊入院)

実施曜日が決まっている検査

  • ABR(月・水・木)
  • 電気眼振計・重心動揺計を用いる二次平衡機能検査(火)
  • 補聴器フィッティング(金)

入院診療

 2012年度の新入院患者数は559人でした。年間手術件数は下記の通りです。

2012年度手術統計

鼓室形成術 22
鼓膜形成術 4
他の耳科手術 18
内視鏡的副鼻腔手術 85
鼻中隔矯正術 50
粘膜下下鼻甲介骨切除 26
鼻副鼻腔良性腫瘍手術 5
他の鼻科手術 13
口腔・咽頭 扁桃腺手術 72
アデノイド手術 46
咽頭良性腫瘍手術 10
他の口腔咽頭手術 1
喉頭微細術(声帯ポリープなど) 31
他の喉頭手術 2
唾液腺 耳下腺、顎下腺手術 16
頸部・他 頸部郭清術単独 3
口腔、喉頭などの悪性腫瘍手術 5
他の頸部手術 20
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内視鏡下鼻副鼻腔手術(Endoscopic Sinus Surgery:ESS)

慢性副鼻腔炎や、鼻・副鼻腔良性腫瘍などの疾患は、ごく一部を除いて鼻腔(鼻の穴)から内視鏡下に手術しています。歯肉・歯齦を切開する手術は、鼻腔からの手術で器具が届かない場合など、ごく一部の疾患にのみする手術になっています。

副鼻腔炎の手術では、ポリープ(鼻茸)を切除する際に「マイクロデブリッダー」という機器を用いることで手術時間を短縮して体への負担軽減につとめています。

慢性副鼻腔炎症例
慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術

鼻腔通気改善手術と、アレルギー性鼻炎の手術

鼻中隔弯曲症や下鼻甲介肥厚による鼻閉症状に対しては、鼻中隔矯正術、下鼻甲介切除や粘膜下下鼻甲介骨切除術を行い、鼻腔通気度の改善をはかっています。「nasal CPAP」による治療を要する重症の睡眠時無呼吸症候群で、鼻閉があるとCPAP治療がうまくいかなくなる場合があります。このような時にも鼻腔通気改善手術をすることで、うまく治療ができるようになります。これら鼻腔形態矯正手術も内視鏡下に手術することが大半です。入院期間は6~7日間です。

アレルギー性鼻炎では、下鼻甲介を電気で焼灼する手術や、粘膜下下鼻甲介骨切除術、内視鏡下後鼻神経切断術をしています。後鼻神経切断術とは、腫脹した粘膜に分布する副交感神経である後鼻神経を切断する手術です。内服薬や点鼻薬でも症状が改善しない重症のアレルギー性鼻炎に対してはこの手術が有効です。

切除前(矢印:後鼻神経)
切除後

扁桃摘出術、アデノイド切除術

頻回に繰り返す扁桃炎、扁桃肥大によるいびき・睡眠時無呼吸症候群、扁桃病巣感染(掌蹠膿疱症やIgA腎症)では扁桃摘出術を行います。入院期間は大人で7~8日、小児では6日前後です。

小児ではアデノイド肥大で鼻呼吸障害、いびき・睡眠時無呼吸、難治性滲出性中耳炎を引き起こしていれば、アデノイド切除術をしています。扁桃肥大もあって扁桃とアデノイドの両方の手術が必要な場合もあります。入院期間は扁桃とアデノイドの両方を手術する場合は6日前後、アデノイド切除だけなら3日間です。

鼓膜形成術

鼓膜穿孔による伝音性難聴の改善や、感染による中耳炎発症の防止、長い年月で穿孔のある側の難聴だけが悪化するのを防ぐこと、などを目的に手術します。外耳道からの手術で、主に顕微鏡下に手術します。

耳漏がないこと、鼓膜穿孔の大きさや位置、聴力検査の結果など、一定の条件を満たす場合にできる手術です。例えば、鼓膜輪にかかる穿孔などはこの方法では穴が閉じにくいことが多く、後述の鼓室形成術が必要になります。他には、外耳道の弯曲が強くて顕微鏡で穿孔が見えない場合にも、鼓室形成術が必要になる場合もあります。ただし、外耳道の弯曲に対しては、近年は内視鏡下に手術することにより、鼓膜形成術で治療できる場合もあります。

鼓膜形成術 術後7週目
鼓膜形成術 術前

鼓室形成術

中耳真珠腫や慢性中耳炎などでする手術です。主に顕微鏡下に手術しています。顕微鏡下鼓室形成術では、耳の後ろを切開して手術します。耳の中は狭いため、必要に応じて骨を削開して視野を広くして手術します。骨を削っても顕微鏡で見えない死角が生じる場合には、内視鏡を併用して手術しています。内視鏡を用いることで、顕微鏡で見えない所を観察しながら手術したり、狭くて複雑な所も内視鏡で観察しながら手術ができたりします。入院期間は約10日間です。

慢性中耳炎の一部では、耳の後ろを切らずに、耳の穴から内視鏡下に鼓室形成術ができる場合もあります(内視鏡下耳科手術、Transcanal Endoscopic Ear Surgery:TEES)。この場合の入院期間は3~4日間です。

直達鏡による経口法の咽喉頭手術

経口的に直達鏡という器具を使用して、咽頭や喉頭の手術をします。声帯ポリープ・声帯結節や喉頭腫瘍などでの声帯の手術では、顕微鏡下に声帯を観察しながら手術します。喉頭蓋のう胞や咽頭良性腫瘍なども、この方法で手術します。一部の疾患では、内視鏡下に手術する場もあります。入院期間は3~4日間です。声帯の手術では、創部の安静のために、声の安静が必要で術後はしばらく沈黙療法が必要です。

耳下腺・顎下腺手術

耳下腺腫瘍は、諸検査で良性腫瘍と悪性腫瘍との診断がつきにくいこと、良性腫瘍の中でも悪性化するものが知られていること、などから、手術治療を勧めています。耳下腺組織の中には、「顔面神経」という眼や額や口の筋肉の運動をつかさどる運動神経が走行しています。そのため、耳下腺腫瘍の影響で顔面神経が麻痺し、眼が閉じられなくなったり、口が動きにくくなったりする場合もあります。手術では顔面神経を探しだして、腫瘍との位置関係を確認しながら腫瘍を摘出する必要があります。入院は短期であれば5~6日間、抜糸後の退院であれば約8日間です。

顎下腺摘出術は、腺体内あるいは腺管移行部に唾石が存在する場合や、顎下腺腫瘍の場合に行います。入院は短期であれば4~5日、抜糸後の退院であれば7~8日間です。

頭頸部悪性腫瘍

頭頸部領域の悪性腫瘍には舌癌、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、鼻腔・副鼻腔癌、唾液腺癌、聴器癌などがあり、耳鼻咽喉科の担当領域です。頭頸部悪性腫瘍の治療は摂食や嚥下、発声、審美的な面から患者さんのQOL(生活の質)に大きく関わります。病気の部位や進行度に応じて、手術、放射線治療、化学療法を組み合わせた集学的治療をしています。

放射線治療で、抗がん剤を使わない場合は、通院での照射治療を主体にしています。抗がん剤を併用する場合で、副作用が強く出やすい薬の種類を使用する場合は、入院で治療します。支持療法を取り入れ、休止することなく予定の治療を実施できるように取り組んでいます。上顎洞癌、一部の咽頭癌では超選択動注化学療法も行っており、有効例が多くみられます。

顔面神経麻痺

発症して数日間は、下記の理由により入院をすすめています。

  1. 原因が不明なため安静にしておくのが安全なこと
  2. 神経障害を高度にしないための治療が必要なこと

病気の程度にもよりますが、一般的に1週間程度は麻痺が悪化していく経過をとります。悪化の程度をひどくしないための初期治療が大切になります。発症7~10日目に顔面筋電図を行い予後を判定します。

突発性難聴

高度の難聴やめまいを伴うもの、糖尿病などの合併症があれば入院を勧めています。ストレスが大きな要因になるため、規則正しい生活と十分な睡眠をとるよう勧めています。

めまい

救急車で救急外来に搬送されるケースが増えています。末梢性めまいの入院の内訳としては、良性発作性頭位めまい症やメニエール病が多数を占めています。当院での救急医療の役割が大きくなるとともに、年々めまいでの救急入院の数は増えています。

睡眠時無呼吸症候群

「睡眠中に息が止まる」といった症状の方で、携帯型の検査器で重症度の診断がつかない場合には、1泊入院での終夜睡眠ポリソムノグラフィー検査を行っています。重度の無呼吸症候群と診断した場合には、nasal CPAPという器械による治療もしています。安定して器械による治療が続けられるようになれば、紹介元の診療所、かかりつけの診療所、お近くの医院に情報提供し、治療をお願いするようにしています。

嚥下障害

近年、高齢化や病気の後ののどや体力の低下などで食事中にむせがでたり、嚥下性肺炎を起こしたりする人が増えてきています。そういった場合に、嚥下内視鏡検査による嚥下機能の検査をしています。嚥下機能が低下した人には、食べる姿勢や食材、とろみ剤の使用など安全に食べられるために関して助言、指導しています。

その他

クリニカルパス

20種類のパスを運用し、質の高い安全な医療を目指して取り組んでいます。

病診連携

手術後の処置をお願いしたり、n-CPAPの継続治療をお願いしたりと、診療所の先生方には何かとお世話になっています。この場を借り、お礼申し上げます。病院の役目を果たすとともに紹介元の先生にできるだけきちんとした報告ができるように心がけて臨んでいますので、今後ともよろしくお願いします。

関連リンク

後期研修医募集要項