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*1:外来棟2階「外来総合案内」「A・Bブロック受付」で駐車券をご提示ください
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診療の最前線
徳島赤十字病院
心臓血管外科 元木 達夫(金曜日外来)
低侵襲(ていしんしゅう)手術とは、小さな皮膚切開(小切開)で行う手術のことです。近年、医療技術の進歩により多くの外科手術分野において低侵襲手術への流れが加速しています。腹部領域では腹腔鏡下手術が盛んに行われていますが、心臓外科領域においても例外ではなく低侵襲心臓手術(MICS ; Minimally invasive cardiac surgeryの略でミックスと呼びます)が脚光を浴びるようになっています。当院では、2000年より、若年の心房中隔欠損症もしくは大動脈弁疾患の患者さまに対し、胸骨部分切開でのMICSを施行(これまでに30例程度施行)してきました。ただ、部分的とはいえ胸骨を切開することが必要であり、傷は小さいものの手術後の疼痛や社会復帰の遅れなどの点では通常の手術と同等でした。その点を補うため、2015年1月から右小開胸によるMICSを開始しました。
8cm程度の皮膚切開下に右第4肋間で開胸し、僧帽弁手術を行います。傷が小さいため専用の開胸器を使用します。
右肺が視野の妨げになるため、手術中は分離換気により右肺を虚脱させます。体外循環を主に大腿動静脈から送脱血管を挿入して確立し、心停止下に心内操作を行います。当初は安全のため、ある程度若年かつ術前に有意な合併症がなく、早期の社会復帰を希望される僧帽弁単独疾患の患者さまを対象としていましたが、最近では年齢や疾患によらず適応を拡大しています。
手術術式の多くは僧帽弁形成術(MVP)ですが、従来の胸骨正中切開に比べ術野が小さく、視野を確保するための工夫と僧帽弁形成術に対する治療戦略が重要になります。
図2-1に代表的な僧帽弁閉鎖不全症に対するMICS-MVPを提示します。僧帽弁逆流の主病変は後尖中央の著明な逸脱です。
余剰な弁尖を切除し(図2-2)、縫合(図2-3)、人工弁輪による弁輪縫縮を同時に施行します。
生理食塩水を左心室内に注入する逆流テストを行い、逆流が消失していることを確認し手術を終了します(図2-4)
視野が狭く手が入らないために専用の手術器具が必要で、手術野の展開、縫合や糸の結紮なども専用の器具を用いて行います。また最近では胸腔鏡補助下での手術も導入し、より鮮明な画像を共有しながら手術が行えるようになっています(図3-1,2)。従来の胸骨正中切開より、当初は単独僧帽弁形成術において約40分程度の手術時間の延長がみられましたが、肋間開胸MICSの症例数が増えて70例(表1)を超えるようになり、症例数の増加や新たな手術器具の導入などにより開胸・閉胸の時間が短縮され、手術時間(表2)は徐々に短くなり、最近では胸骨正中切開例よりも短くなっています(最近の10例の比較。MICS 201分, 胸骨正中切開 209分)。
加えて骨を切る必要がないために術後の出血が少なく、より輸血の可能性を減らせます。また痛みが少ないために回復は速く、従来は2週間以上の術後入院が必要だったものが10日程度に短縮し、早期の社会復帰が可能となっています。さらに整容面にも優れ、従来の約20cmの正中創に比べると、患者さまの満足度も大きいと思います(図4)。また脳梗塞、下肢虚血および出血再開胸などの合併症も適切な手術方法やモニターの使用でこれまで認めていません。また正中切開への移行も認めておりません。
MICSが不適な症例は次のとおりです。
などの患者さまは、術野の展開が困難、手術による合併症の可能性などのため適応外となります。手術前に十分に適応と安全性を精査し、メリット・デメリットを説明し理解していただき、手術を安全に施行することが重要となります。
当科におけるMICSは、僧帽弁形成術に加え、僧帽弁置換術、更に三尖弁や不整脈に対する同時手術も行うようになっています。また大動脈弁置換術や左房・右房粘液腫に対する手術、心房中隔欠損閉鎖術なども行っています。この他に症例によっては右開胸が適している再手術症例や左開胸にはなりますが、前下行枝に対する冠動脈バイパス手術も行っています。今後、さらに手術経験を蓄積し、複合手術への適応を拡大していく予定です。より多くの患者さまによりよい手術を提供したいと考え、日々の診療に当たっております。
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